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東京駅雑学20選

東京駅は戦争で焼けたって本当?戦災と復旧の歴史を解説

第7話 / 全20話

東京駅丸の内駅舎は1945年の空襲で大きな被害を受けました。どこまで焼けたのか、何が残り、どのように復旧したのかを分かりやすく紹介します。

東京駅といえば、丸の内側の赤レンガ駅舎です。

しかし、いま目にしているこの建物は、一度大きな戦災を経験しています。

東京駅と戦争の関係は、駅舎の姿そのものに深く関わっています。この記事では、どこまで焼けたのか、何が残ったのかを整理して紹介します。

結論:1945年の空襲で被災したが、壁は残った

先に答えをまとめます。

  • 1945年(昭和20年)5月25日の空襲で、丸の内駅舎は大きな被害を受けました
  • 屋根と内装、3階部分、南北のドームが失われました
  • 一方で、外壁のレンガや鉄骨・コンクリートによる構造体の多くは残りました
  • 戦後は2階建てとして復旧し、2012年に創建時の姿へ復原されています

つまり「焼けたのは本当か」という問いへの答えは、建物すべてが失われたわけではない、というものです。

東京駅は空襲で焼けた

1945年5月25日

被災したのは1945年(昭和20年)5月25日です。この日の空襲は「山の手大空襲」と呼ばれています。

丸の内駅舎にも焼夷弾が着弾し、大きな火災が発生しました。着弾したのは、当時の降車口があった北側と伝えられています。

2日で列車が動き出した

意外に知られていないのが、その後の対応の速さです。

翌26日には復旧作業が始まり、27日には列車の運転が再開されたと記録されています。駅舎は大きな被害を受けましたが、鉄道としての機能が止まったのは短期間でした。

どこまで焼けた?

焼けた部分と残った部分を分けて整理します。

部位 状況
屋根・小屋組 焼失・崩落
南北のドーム 屋根が焼失
3階部分 焼損が著しかった
内装 大半が失われた
外壁のレンガ 残った
鉄骨・コンクリートの構造体 多くが残った

ポイントは、失われたのが主に建物の上部と内部だったという点です。

外壁のレンガと、それを支える鉄骨・コンクリートによる構造体の多くは残りました。これが、後の復原を可能にする前提となります。

戦後どう復旧した?

終戦直後の1945年8月から修復計画の立案が始まり、同年末に工事が始まりました。完成したのは1947年(昭和22年)3月です。

このとき、駅舎は2階建てになりました。焼損状況や戦後の資材事情などを踏まえ、3階部分は撤去されています。南北のドームも、創建時とは異なる簡素な形の屋根に改められました。

当時は資材にも時間にも余裕がありません。創建時と同じ姿へ戻す選択はできませんでした。

ただし、まったく粗雑な工事だったわけではありません。壁面や窓まわり、軒の装飾などは、2階建てになってもできる限り元の意匠に沿って仕上げられています。

この復旧はあくまで応急的なものでしたが、結果として60年以上使われ続けることになりました。

その後どのように創建時の3階建てへ戻されたのかは、第3話で詳しく紹介しています。

今も残る戦前の部分

ここが、この記事で一番お伝えしたい点です。

丸の内駅舎の1階と2階には、創建時からのレンガ壁が現に残っています。

2007年から2012年にかけての保存・復原工事でも、構造を支えるレンガと鉄骨は保存して活用する方針が採られました。取り壊して建て直したのではありません。

つまり現在の駅舎は、戦前から立ち続けている部分と、後から復原された部分が組み合わさった建物です。こうした歴史を持つ駅舎として、2003年(平成15年)に国の重要文化財に指定されました。

現地で見てみよう

戦前から残る部分は、意識して見ると感じ取れます。

まずは駅舎の全景を眺めてみてください。下の2層と、上の3階部分。この境目のあたりが、おおよそ戦災で失われた高さの目安になります。

2階部分と3階部分の境が分かる東京駅丸の内駅舎の全景
丸の内駅舎の全景。下の2層には創建時からの壁が残っています。

次に、壁面へ近づいてみましょう。

1階・2階のレンガをよく見ると、100年を超える時間を経た質感が伝わってきます。この壁は、空襲による火災を耐え抜いたものです。

東京駅丸の内駅舎1階・2階部分の創建時から残るレンガ壁
1階・2階のレンガ壁。空襲を経て残った創建時の部分です。

もうひとつ見ておきたいのが、丸の内南口のドーム内部です。ここには、保存・復原工事の際に保存された創建時の装飾が設置されている箇所があります。周囲より少し黒ずんで見える部分に注目してみてください。

まとめ

最後に整理します。

  • 東京駅と戦争――1945年5月25日の空襲で丸の内駅舎は被災した
  • 屋根、内装、3階部分、南北ドームが失われた
  • 外壁のレンガや構造体の多くは残った
  • 列車の運転は2日ほどで再開された
  • 1947年3月に2階建てとして復旧し、その姿が60年以上続いた
  • 現在の駅舎には、戦前から残る部分が今も使われている

赤レンガの壁は、装飾であると同時に、駅の歩みそのものを伝える記録でもあります。

第8話では「東京駅の屋根はなぜ黒い?」を紹介します。

参考資料

  • JR東日本「東京駅丸の内駅舎 保存・復原工事」
  • 東京ステーションギャラリー
  • 文化庁 国指定文化財等データベース/文化遺産オンライン
  • 鉄道博物館
  • 国立国会図書館デジタルコレクション

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