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東京駅雑学20選

東京駅の中央線ホームはなぜ高い?高架上に造られた理由を解説

第12話 / 全20話

東京駅の中央線ホームは、ほかの在来線ホームより高い位置にあります。なぜ1・2番線だけ高いのか、ホーム増設と駅構造の歴史から分かりやすく解説します。

東京駅で中央線に乗り換えると、長いエスカレーターや階段を上ることになります。

ほかの在来線ホームは横に並んでいるのに、1・2番線だけが明らかに上にあります。

東京駅の中央線ホームはなぜ高いのでしょうか。この記事では、その理由を駅の改良工事の歴史からたどります。

結論:新幹線ホームを生み出すために「重層化」された

先に答えをまとめます。

  • 現在の1・2番線は、1995年(平成7年)7月に高架ホームへ移されたものです
  • きっかけは、北陸(長野)新幹線を東京駅へ乗り入れさせる計画でした
  • 丸の内駅舎を保存したまま新幹線ホームを確保するため、ホームを上下に重ねる案が採られました

つまり東京駅の中央線ホームが高いのは、単に土地が足りなかったからではありません。赤レンガ駅舎を残しながら駅を拡張するという判断の結果です。

中央線ホームはどれくらい高い?

中央線が発着するのは1・2番線です。このホームは、3・4番線(京浜東北線北行と山手線内回り)の上を通る高架橋の上に設けられています。

JR東日本がまとめた『北陸新幹線工事誌(東京乗入れ工事)』をもとにした報道によれば、他のホームより約8メートル高い位置に新設されたとされています。

建物の階数でいえば2階分以上です。乗り換えの際に上下移動が必要になるのは、この高低差によるものです。

なぜ高い場所に造られた?

もう1本のホームが必要だった

1991年(平成3年)、東北・上越新幹線が東京駅へ乗り入れました。

その後、北陸(長野)新幹線も東京駅へ乗り入れる計画が進みます。しかし当時のホームでは足りず、新たにもう1面が必要でした。

横に広げる余地がなかった

問題は、その1面をどこに造るかです。

東京駅にはすでに在来線と新幹線のホームがぎっしり並んでいました。平面的に増やすには、丸の内側へホーム全体をずらすしかありません。

しかし丸の内側には駅舎と道路が迫っており、ホームを横方向へ広げる余地は限られていました。そのまま進めれば、丸の内駅舎を保存しながら工事を行うことが難しくなります。

駅舎を残し、上へ積む

そこで打ち出されたのが、ホームを重層化する案でした。ホームを横に並べるのではなく、既存ホームの上に新しいホームを重ねる方法です。

どの路線を上へ移すかについては、中央線、東海道本線、京浜東北線・山手線が候補になりました。検討の結果、周辺への影響を最も抑えられる案として中央線が選ばれています。

こうして中央線が上へ移り、空いた分だけ他のホームを丸の内側へずらす。この玉突きによって、新幹線用のホームが生み出されました。

営業しながらの工事

忘れてはならないのが、この間も東京駅は休まず営業していたという点です。

列車を走らせながらホームを1面ずつ動かしていくため、工事は段階的に進められました。立体的な配置になった背景には、こうした施工上の事情もあります。

以前の中央線ホームはどこにあった?

現在の3・4番線付近にありました。今は京浜東北線北行と山手線内回りが使っている場所です。

1914年(大正3年)の開業当時、在来線ホームは丸の内側に4面だけでした。八重洲側は車庫だった時代です。そのうち赤レンガ駅舎に最も近いホームが、中央線用として使われていました。

つまり中央線は、もともと駅の一番端にいた路線です。その位置関係が、後の重層化でも生きることになりました。

時期 主な変化
1914年 開業。丸の内側に4面のホーム。駅舎に最も近いホームが中央線用
1991年 東北・上越新幹線が東京駅へ乗り入れ
1995年7月 中央線ホームを高架ホームへ移転(現在の1・2番線)
1995年10〜12月 山手線・京浜東北線ホームを丸の内側へ移設
1996年6月〜1997年7月 東海道線ホームを丸の内側へ移設
1997年10月1日 北陸新幹線 高崎〜長野が開業

移設によって生まれた空間はどうなったのか。かつて東海道本線が使っていた9・10番線ホームが、新幹線用に改修されました。

中央線ホームの高架化は、そこから始まる連鎖の起点だったわけです。

高いホームならではの特徴

眺めが開けている

周囲の在来線ホームより高い位置にあるため、視界が開けています。

丸の内側には、赤レンガの丸の内駅舎や周辺の街並みを見渡せる場所があります。ホーム上から駅舎を眺められる位置は限られており、ここはその貴重なひとつです。

乗り換えには時間がかかる

一方で、乗り換えは上下移動が前提になります。

中央線から東海道線や新幹線へ向かう場合、いったん下へ降りてから横へ移動することになります。エスカレーターやエレベーターは設置されていますが、混雑時は待ち時間も生じます。

特に大きな荷物がある場合や、新幹線への乗り継ぎでは、時間に余裕を持っておくと安心です。

現地で見てみよう

高低差は、実際に上ってみるとよく分かります。

まずは中央通路側から、1・2番線へ向かう上り動線を見てみてください。他のホームへは平面移動で行けるのに、中央線だけは長いエスカレーターを使うことになります。

中央線1・2番線ホームへ上る長いエスカレーター
中央線ホームへ向かう上り動線。ほかの在来線ホームとの高低差を体感できます。

ホームに着いたら、丸の内側を眺めてみましょう。

柱や架線越しではありますが、赤レンガ駅舎や丸の内側の街並みが視界に入ります。足元には他のホームが並んでいるのが分かり、駅が立体的に構成されていることを実感できます。

高い位置に設けられた東京駅中央線1・2番線ホーム
中央線1・2番線ホーム。限られた駅空間を立体的に活用して設けられています。

なお、撮影の際は必ず黄色い線の内側で、周囲の通行の妨げにならないようご注意ください。

まとめ

最後に整理します。

  • 東京駅の中央線ホームが高いのは、ホームを上下に重ねる「重層化」が採られたため
  • 現在の1・2番線は1995年(平成7年)7月に移転した高架ホーム
  • きっかけは北陸(長野)新幹線の東京駅乗り入れ計画
  • 丸の内駅舎を保存したまま新幹線ホームを確保するための判断だった
  • 以前の中央線ホームは、現在の3・4番線付近
  • 乗り換えには上下移動が必要なため、時間に余裕を持つのがおすすめ

毎日多くの人が上り下りするあの高低差は、赤レンガ駅舎を守るために生まれたものでした。

第13話では「東京駅は何回建て替えられた?」を紹介します。

参考資料

  • 東日本旅客鉄道株式会社編『北陸新幹線工事誌(東京乗入れ工事)』1999年
  • 日本経済新聞「東京駅、中央線ホームなぜ高い 鉄路争奪戦の力学」(『北陸新幹線工事誌』に基づく解説記事)
  • JR東日本「東京駅 構内図」
  • 鉄道博物館

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