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東京駅雑学20選

東京駅の屋根はなぜ黒い?色の理由を解説

第8話 / 全20話

東京駅丸の内駅舎の屋根は黒く見えるのが特徴です。なぜ黒いのか、使われている屋根材や復原時の考え方も含めて分かりやすく解説します。

東京駅の丸の内駅舎を眺めると、赤レンガの壁と同じくらい目に入るものがあります。

黒く光る屋根です。

この色は塗装によるものではありません。東京駅の屋根がなぜ黒いのか、その理由を分かりやすく紹介します。

結論:屋根材そのものが黒い石だから

先に答えをまとめます。

  • 屋根に使われているのは天然スレートという石材です
  • 黒く見えるのは、この石そのものの色によるものです
  • 創建時に天然スレートが用いられ、戦後の修復でも天然スレートが使われました

つまり東京駅の屋根の黒さは、色を選んで塗ったものではなく、素材の色がそのまま出ているということです。

なぜ黒い?

石の色がそのまま屋根の色になる

天然スレートは、粘板岩(ねんばんがん)という石を薄く板状に加工したものです。

粘板岩はもともと黒から濃い灰色をしています。それを屋根に葺いているため、屋根全体が黒く見えるわけです。

塗料で着色しているわけではないので、時間が経っても色が剥がれるということがありません。

光の当たり方で表情が変わる

石なので、表面はまったくの均一ではありません。

晴れた日には光を受けて青みがかった灰色に見え、曇りや雨の日には深い黒に沈みます。同じ屋根でも、日によって印象が変わります。

赤レンガとの対比

結果として生まれるのが、赤と黒のはっきりしたコントラストです。

壁面には赤いレンガと白い石の帯、その上に黒い屋根。三つの色が上下に積み重なることで、建物の輪郭がくっきりと見えます。

屋根材は何?

天然スレートと人工スレートの違い

「スレート」という言葉は、一般住宅の屋根材としても使われています。ただし中身は別物です。

天然スレート 人工スレート
素材 粘板岩(天然の石) セメントなどを成形したもの
入手性 希少で高価 広く流通
主な用途 歴史的建造物など 一般住宅など

丸の内駅舎に使われているのは天然スレートのほうです。石を割って一枚ずつ仕上げるため、大量生産ができません。

宮城県産の石

屋根の一部には、宮城県石巻市雄勝町産の天然スレート「雄勝石(おがついし)」が使われています。

雄勝は天然スレートの産地として知られる地域です。1952年(昭和27年)に行われた葺き直しの際にも、雄勝産や登米(とめ)産の天然スレートが用いられました。

耐久性と文化財としての配慮

天然の石であるため、屋根材として高い耐久性を持ちます。

そして重要文化財の建物では、当時と同じ材料・工法をできるだけ用いることが重視されます。屋根材の選定も、この考え方に沿って進められました。

復原でどうなった?

2007年から2012年にかけての保存・復原工事では、屋根についても方針が定められました。

特徴的だったのが、既存の屋根のスレートをできるだけ再利用するという判断です。

駅舎から取り外したスレートは、産地である石巻市雄勝へ送られ、一枚ずつ洗浄や補修が行われました。使えるものは新品に置き換えず、そのまま戻すという進め方です。

ところが作業の途中、2011年3月に東日本大震災が発生します。スレートを保管していた倉庫も津波の被害を受けました。

それでも回収作業が続けられ、多くのスレートが東京へ送られています。現在の屋根には、そうした経緯を経た石が使われているのです。

なお、ドームの頂部などには銅板も用いられています。屋根まわりは石と金属が組み合わされた構成になっています。

現地で見てみよう

屋根の黒さを味わうなら、光の条件を意識すると違いが分かります。

まずは駅前広場から、屋根全体を眺めてみてください。晴れた日は光の当たり方で表情が変わり、時間帯によって青みがかって見えたり、深い黒に見えたりします。

丸の内駅舎の黒い屋根と赤レンガの対比
駅前広場から見た屋根。赤レンガとの色の対比がはっきり分かります。

次に見たいのが、南北のドームの屋根です。

曲面に沿って小さな石が一枚ずつ葺かれている様子は、少し離れた位置から見上げるとよく分かります。平らな部分の屋根とは葺き方の密度が違うことに気づくはずです。

東京駅丸の内駅舎ドーム屋根の天然スレートの葺き目
ドームの屋根。曲面に沿って天然スレートが葺かれています。

雨の日も狙い目です。濡れたスレートは黒がさらに深くなり、赤レンガとの対比が一段と強く見えます。

まとめ

最後に整理します。

  • 東京駅の屋根が黒いのは、天然スレートという石材そのものの色によるもの
  • 天然スレートは粘板岩を薄く板状に加工したもので、一般住宅の人工スレートとは別物
  • 屋根の一部には宮城県石巻市雄勝町産の雄勝石が使われている
  • 創建時に天然スレートが用いられ、戦後の修復でも天然スレートが使われた
  • 復原工事では既存のスレートをできるだけ再利用する方針が採られた

赤レンガに目を奪われがちですが、その上の黒にも見どころがあります。

第9話では「東京駅に皇室専用の出入口があるって本当?」を紹介します。

参考資料

  • JR東日本「東京駅丸の内駅舎 保存・復原工事」
  • 東京ステーションギャラリー
  • 文化庁 国指定文化財等データベース/文化遺産オンライン
  • 宮城県石巻市(雄勝石関連資料)
  • 鉄道博物館

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