TOKYO STATION HISTORY WALK

知ると歩きたくなる東京駅|見どころ・歴史シリーズ

第6話 / 全10話 読了時間 約3〜4分

東京駅地下「動輪の広場」の見どころと歴史

改札の外で無料。丸の内側の待ち合わせの目印にもなる場所です。

東京駅の丸の内地下を歩くと、巨大な鉄の車輪が並ぶ一角があります。ここが「動輪の広場」です。展示されているのは、かつて東海道本線などで活躍した蒸気機関車C62形の、本物の動輪です。

改札の外にあり、無料で見学できます。丸の内側の待ち合わせの目印としても使われてきた場所です。この記事では、動輪の広場が今どこにあるのか、展示されているのが何の車輪なのか、なぜ東京駅に置かれたのか、そして現地での見方を紹介します。

この記事で分かること

  • 動輪の広場の場所(丸の内地下南口改札外・無料)と、2014年の移転
  • 展示されているC62形15号機の動輪の由来と、1972年に置かれた理由
  • 直径1,750mmの動輪やロッドの機械構造など、現地での見どころ

動輪の広場はどこにある?

動輪の広場は、東京駅の地下1階、丸の内地下南口改札の前にあります。改札の外側にあるため、乗車券や入場券がなくても無料で見学できます。「KITTE丸の内」や「丸ビル」など、丸の内方面へ向かう際の待ち合わせにも便利な場所です。

ひとつ注意したいのは、以前の場所です。この広場は、もともと丸の内地下北口側にありましたが、丸の内地下コンコースの整備にともない、2014年11月に現在の丸の内地下南口改札外へ移転しました。古い案内では北口と紹介されている場合があるため注意が必要です。前回紹介した銀の鈴が八重洲側・改札内の地下1階にあるのに対し、動輪の広場は丸の内側・改札外にある、という違いも覚えておくと便利です。

東京駅丸の内地下南口改札外にある動輪の広場とC62形蒸気機関車の動輪
動輪の広場は、丸の内地下南口改札を出た改札外にあります。展示されているのは、C62形蒸気機関車の片側3枚の動輪です。

「動輪」とはどんな車輪?

動輪とは、蒸気機関車の動力をレールへ伝える大きな車輪です。シリンダー内のピストンが往復すると、その力が主連棒(メインロッド)を通じて中心となる動輪へ伝わります。さらに連結棒(サイドロッド)によって、ほかの動輪も一緒に回転します。主連棒はピストン側から動輪へ力を伝える棒、連結棒は複数の動輪を一緒に回す棒、と考えると分かりやすいでしょう。

蒸気機関車には、動輪のほかに小さな車輪もあります。先輪はカーブで進行方向を導き、従輪は機関車後部の重量を支えます。それに対し、動力をレールへ伝えて機関車を走らせる役割を担うのが動輪です。動輪の広場に展示されているのは、直径1,750mmの大きな動輪です。成人の身長ほどあり、間近で見ると迫力があります。

展示されているのは何の機関車?

動輪の広場に保存されているのは、大型旅客用蒸気機関車C62形15号機「C62 15」の動輪です。C62形は、東海道本線や山陽本線などで特急・急行列車を牽引し、のちには函館本線でも活躍しました。

C62形の動輪は3軸で、左右に3枚ずつ、合計6枚あります。東京駅で展示されているのは、そのうち片側の3枚です。ロッドでつながった状態で保存されているため、車輪だけでなく、複数の動輪へ力を伝える仕組みも近くから確認できます。

動輪の直径は1,750mmあり、日本の旅客用蒸気機関車として大きな部類に入ります。なお、時速129kmの日本記録を達成したのは、同じC62形でも展示機とは別の17号機です(1954年、東海道本線での記録)。展示されているC62 15の記録ではない点に注意すると、より正確に楽しめます。

鉄道好きの注目ポイント

CとDは動輪軸数を表す 国鉄蒸気機関車の形式記号「C」は動輪3軸、「D」は動輪4軸を表します。C62形は高速旅客列車向けの3軸機、「デゴイチ」で知られるD51形は貨物列車などで広く活躍した4軸機です。動輪の広場に3枚の動輪が並んでいるのは、C62形の動輪が片側3枚(3軸)だからです。

C62形蒸気機関車の直径1750ミリの動輪とロッド取り付け部
C62形の動輪は直径1,750mm。ボックス輪心やロッドの取り付け部を見ると、高速旅客用蒸気機関車の機械構造が分かります。

なぜこんなに大きい?

動輪が大きいのには理由があります。車輪は大きいほど、1回転で進む距離が長くなります。そのため、高速で走る旅客用の蒸気機関車には、大径の動輪が使われることが多くありました。C62形のような大型旅客機は、その代表です。

ただし、単純に「大きいほど速い」というわけではありません。大きな動輪は高速走行に向く一方、重い列車を引き出す力(牽引力)との兼ね合いもあります。動輪の大きさは、用途に合わせた設計上のバランスで決められています。

なぜ東京駅に展示された?

C62形の動輪が東京駅に設置されたのは、総武快速線の地下駅が開業した1972年(昭和47年)です。現地の銘板には、この地下駅が「鉄道100年の技術を結集して完成した」と記されています。鉄道開業から100年の節目に誕生した新しい地下駅で、蒸気機関車の時代を伝える象徴的な展示として、動輪が置かれました。

展示は、単に動輪だけを並べたものではありません。片側3枚の動輪に、主連棒や連結棒といった、動輪を動かすための部品も一緒に取り付けられています。そのため、車輪そのものだけでなく、蒸気の力が車輪へと伝わっていく仕組みも見て取れる展示になっています。

現地の説明板によると、C62 15は解体されるまでに約263万kmを走行したとされています。地球一周を約4万kmとすると、およそ65周分に相当します。

動輪の広場にあるC62形蒸気機関車と東京地下駅の説明銘板
説明銘板には、C62形15号機の経歴や、鉄道開業100年にあたる1972年に東京地下駅が完成したこと、同機の動輪を設置した由来が記されています。

待ち合わせ場所としての動輪の広場

動輪の広場は、改札の外にあるため、改札を通らずに合流できる場所として、長く丸の内側の待ち合わせの目印に使われてきました。丸の内側やKITTE丸の内、丸ビル方面へ向かう人にとっては、銀の鈴よりも便利な場合があります。

ただし、現在はこの広場で期間限定ショップやイベントが開かれることもあり、そのときは広場の使われ方や動輪の見え方が変わることがあります。待ち合わせでは、「動輪の前」とだけ伝えるのではなく、「丸の内地下南口改札外」と改札名まで伝えると分かりやすくなります。また、展示物の前を大人数で長時間ふさがないよう、周囲の通行にも配慮してください。

現地ではここを見てみよう

  1. 動輪の直径を自分の身長と比べてみましょう。直径1,750mmの大きさを実感できます。
  2. 片側3枚の動輪の並びと、ロッドのつながり方を見てみましょう。
  3. ボックス輪心や車軸まわり、ロッドの取り付け部など、力を伝える構造に注目してみましょう。
  4. 片側だけの保存なので、車輪の内側の造りも観察できます。ほかではあまり見られない角度です。
  5. 壁面や柱の説明板で、「C62 15」という形式・車両番号や、地下駅の由来を確認してみましょう。
見学・待ち合わせの目安

場所:東京駅丸の内側の地下1階(丸の内地下南口改札外)/改札:改札外/料金:無料/見学時間:5〜10分程度/待ち合わせ:丸の内側・KITTE丸の内・丸ビル方面への合流に便利/おすすめの人:鉄道、蒸気機関車、東京駅の歴史に興味がある人/注意:通路や展示前をふさがないようにしてください/撮影:通行者の妨げにならないよう短時間で行ってください。イベント開催時などは、最新の場所・状況を現地の案内でご確認ください。

まとめ

動輪の広場は、東京駅丸の内側の地下1階、丸の内地下南口改札の外にあり、無料で見学できます。展示されているのは、かつて東海道本線などで活躍した蒸気機関車C62形15号機の、片側3枚の動輪です。直径1,750mmの大きさや、主連棒・連結棒まで含めた機械構造が見どころで、丸の内側の待ち合わせの目印としても使われています。次回は、東京駅から皇居へ続く「行幸通り」の歴史と見どころを紹介します。

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