東京駅の赤レンガはなぜ赤い?使われた理由と見どころ
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東京駅雑学20選東京駅の赤レンガはなぜ赤い?使われた理由と見どころ
第2話 / 全20話
東京駅丸の内駅舎を象徴する赤レンガ。なぜ赤レンガが使われたのか、建築的な特徴や歴史、現地で見るポイントを分かりやすく解説します。
「東京駅といえば赤レンガ。」
そう思い浮かべる人は多いでしょう。
しかし、東京駅の赤レンガがなぜ赤いのか、なぜ採用されたのかまで知っている人は、そう多くありません。
実はこの赤い色は、塗装によるものではありません。この記事では、赤レンガが使われた理由と、現地で見るべきポイントを分かりやすく紹介します。
結論:赤レンガは当時の近代建築を代表する建材だった
まず、色そのものについて。「赤レンガ」という名前から、赤く塗装していると思われることがあります。しかし実際は、粘土を高温で焼成する際に鉄分が酸化して赤褐色になる、レンガ本来の自然な色です。東京駅では、この赤褐色を生かした外観が採用されました。
そのうえで、採用理由を整理します。
- 明治から大正にかけて、レンガは近代的な西洋建築を象徴する建材でした
- 当時は耐火性や耐久性に優れた近代的な建材として評価されていました
- 首都の玄関口にふさわしい格式を表現する素材として選ばれました
つまり東京駅の赤レンガは、時代の技術と、国の玄関口としての役割が重なった結果といえます。
なぜ赤レンガが採用されたのか
レンガが「近代化の象徴」だった時代
明治政府は近代的な都市づくりを進めるにあたり、西洋式のレンガ建築を積極的に取り入れました。
背景にあったのは火災への備えです。木造中心だった当時の都市では、大火が繰り返されていました。レンガ造はその対策としても期待されたのです。
設計者・辰野金吾
丸の内駅舎を設計したのは、日本の近代建築を牽引した建築家・辰野金吾です。
その外観の特徴は、赤レンガの壁面に白い石の帯を横方向に走らせるデザインにあります。日本銀行本店なども手がけた辰野の建築に共通して見られる手法で、赤と白のコントラストが建物の輪郭をくっきりと際立たせます。
国の玄関口としての格式
駅舎は南北の長さが約335メートル。創建時は3階建てで、両端にドームを備えた堂々たる姿でした。
これは単に大きな駅を作ったということではありません。首都の表玄関にふさわしい格式を、当時最先端の建材と様式で表現したものでした。
東京駅のレンガの特徴
構造のレンガと、見せるレンガ
丸の内駅舎の構造は鉄骨煉瓦造です。鉄の骨組みとレンガの壁を組み合わせた工法で、関東大震災でも大きな倒壊を免れました。
そして外から見えている赤い部分は、化粧煉瓦(けしょうれんが)と呼ばれる仕上げ用のレンガです。壁の表面を覆い、見た目を整える役割を持っています。
レンガの産地
創建時に使われたレンガの多くは、埼玉県深谷市にあった日本煉瓦製造株式会社で作られたものです。渋沢栄一らが設立した、日本初の本格的な機械式レンガ工場でした。
同社の工場跡は現在、国の重要文化財に指定されており、東京駅などに使われたレンガの製造地として公的にも記録されています。
近くで見ると分かる「覆輪目地」
ぜひ注目してほしいのが目地(めじ)です。目地とは、レンガとレンガの間を埋める部分のことです。
東京駅では覆輪目地(ふくりんめじ)という技法が使われています。ひとことで言えば、レンガとレンガの間が少し盛り上がって見える仕上げのことです。目地の断面が半円形で、かまぼこのように手前へふくらんでいます。
これによりレンガ一枚一枚の輪郭が強調され、壁面が立体的に見えます。復原工事の際には、この技法を再現するために専用の鏝(こて)を作るところから始めたと伝えられています。
戦災と復原工事
失われた3階部分
1945年(昭和20年)、空襲により駅舎は屋根と3階部分、南北のドーム内部などを焼失しました。
戦後の復興工事では3階部分を再建せず、2階建ての駅舎として復旧されます。多くの人が長年見慣れてきたのは、この姿でした。
重要文化財指定と保存・復原
丸の内駅舎は2003年(平成15年)に国の重要文化財に指定されました。
そして2007年4月から保存・復原工事が始まり、2012年に創建時の3階建ての外観がよみがえります。地下に新たな躯体を設けて免震化する工事も同時に行われました。
現在の赤レンガ
復原された3階部分の外壁には、約40万枚の化粧煉瓦が新たに使われています。
難しかったのは色でした。既存の1・2階部分と違和感なくなじむよう、一枚ごとの色むらまで再現する試作が長年にわたって重ねられています。
つまり今の壁面は、創建時のレンガが残る部分と、復原時に新たに製作されたレンガが組み合わさった状態です。
現地で赤レンガを見てみよう
おすすめは「遠くから → 近くから」の順に見ることです。
まずは駅前広場や行幸通りから、駅舎全体を眺めてみてください。赤レンガの面に白い石の帯が水平に走り、黒いスレート屋根が上に乗る構成がよく分かります。
次に壁面へ近づいてみましょう。レンガの目地が半円状に盛り上がっているのが確認できます。
もうひとつの見どころが、レンガの色の違いです。場所によってわずかに表情が異なり、どこまでが創建時のもので、どこからが復原されたものかを想像しながら見ると面白さが増します。
雨上がりや夕方は色が濃く見えます。時間帯を変えて訪れるのもおすすめです。
まとめ
最後に整理します。
- 東京駅の赤レンガの赤は塗装ではなく、粘土を焼いたときに生まれる自然な色
- 明治・大正期の近代建築を代表する建材として採用された
- 耐火性・耐久性といった実用面と、首都の玄関口としての格式の両方が理由
- 構造は鉄骨煉瓦造で、外観は化粧煉瓦による仕上げ
- 覆輪目地により、壁面が立体的に見える
- 2012年の復原で3階部分がよみがえり、約40万枚の化粧煉瓦が使われた
次に東京駅を訪れたときは、ぜひ壁の近くまで寄ってみてください。焼き上げられた粘土の色が、100年以上たった今も東京駅の象徴であり続けていることが実感できるはずです。
第3話では「東京駅の駅舎はなぜ3階建てに戻された?」を紹介します。
参考資料
- JR東日本「東京駅丸の内駅舎」
- 東京ステーションギャラリー
- 文化庁 国指定文化財等データベース/文化遺産オンライン
- 深谷市「日本煉瓦製造株式会社旧煉瓦製造施設」
- 鉄道博物館
- 国立国会図書館デジタルコレクション
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