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東京駅雑学20選

東京駅の駅舎はなぜ左右対称なの?美しい理由を解説

第6話 / 全20話

東京駅丸の内駅舎は、左右対称の美しいデザインが特徴です。なぜそのような設計になったのか、建築的な意味や見どころを分かりやすく解説します。

東京駅の丸の内駅舎を正面から眺めると、あることに気づきます。

中央を境に、左右がほとんど同じ形をしているのです。

これは偶然ではありません。東京駅が左右対称である背景には、当時の建築様式と、実際の使われ方の両方があります。この記事ではその理由を紹介します。

結論:中央に軸を持つ、格式ある公共建築として設計された

先に答えをまとめます。

  • 丸の内駅舎は、辰野金吾と葛西萬司による設計です
  • 中央玄関を軸とする構成が採られ、南北にほぼ同じ形の翼が伸びています
  • 両端にはそれぞれドームが置かれ、全体の均整が保たれています

さらに重要なのが、創建当時は南と北で役割が分かれていたという点です。東京駅が左右対称なのは、見た目の美しさだけの話ではありませんでした。

なぜ左右対称なのか

西洋建築の影響

丸の内駅舎は、当時の西洋建築の影響を受けた設計とされています。設計者の辰野金吾は英国に留学し、そこで学んだ様式を自身の設計に取り入れました。

西洋の公共建築では、中央に軸を置き、左右を対称に構成する手法が広く用いられてきました。宮殿や官庁、劇場などに共通する考え方です。

丸の内駅舎にも、当時の公共建築で広く採用されていた左右対称の構成が取り入れられています。

中央玄関を軸とする構成

丸の内駅舎の中心には、中央玄関があります。

創建当時、この中央玄関は皇室専用の出入口とされていました。建物には明確な「中心」が設定されていたのです。

この中央玄関を軸とする構成が採られ、結果として左右対称の外観になっています。

「南は乗る人、北は降りる人」

ここがこの駅の面白いところです。

創建当時、丸の内南口は乗車口、丸の内北口は降車口として使い分けられていました。出入りする人の流れを分けることで、混雑を避ける狙いがあったとされています。

この区別は1948年(昭和23年)まで続いたと伝えられています。

乗る人と降りる人を分ける以上、両側には同じ規模の設備が必要になります。左右対称の形は、この使い方とも無理なくかみ合っていました。

見た目のためだけの対称ではなく、実際の運用に裏づけられた対称でもあったわけです。

左右対称が生み出す美しさ

安定感が生まれる

左右が釣り合っていると、人はその建物を「落ち着いている」と感じます。視線が特定の方向へ引っ張られないためです。

約335メートルという長大な建物でありながら、丸の内駅舎が散漫に見えないのは、この釣り合いによるところが大きいといえます。

正面がはっきりする

左右対称の建物には、明確な「正面」が生まれます。

丸の内駅舎は、駅前広場から正面に見えるよう計画されました。行幸通りへ向かって建物の中心軸が強調されており、都市の側の軸と建物の軸が重なる配置になっています。

写真が撮りやすい理由

東京駅が撮影スポットとして人気なのも、この構成と関係があります。

中央に立ってカメラを構えるだけで、画面の左右が自然に釣り合います。特別な構図を考えなくても整った写真になるのは、建物側が最初からそう作られているからです。

南北ドームにも意味がある

両端を締めくくる役割

横に長い建物は、そのままでは間延びして見えます。

丸の内駅舎では、南北の端にそれぞれドームが置かれ、建物の両端がはっきりと締めくくられています。中央・南・北という3つの要となる部分が、全体のリズムを作っているのです。

内部も対になっている

ドームは外観だけの装飾ではありません。その真下は、天井の高い吹き抜けの空間になっています。

南北のドーム内部は、いずれもほぼ同じ構成で仕上げられています。外から見た対称性が、そのまま内部にも及んでいるわけです。

2012年に完成した保存・復原工事では、戦後に八角形へ改められていた屋根も含め、創建時の対称的な姿が取り戻されました。

現地で見てみよう

左右対称は、立つ場所を選ぶと一気に分かりやすくなります。

おすすめは行幸通りの中央です。ここから駅舎を見ると、中央玄関を挟んで南北の翼がほぼ同じ形で伸びているのが確認できます。両端のドームの高さも揃っています。

行幸通り中央から見た左右のドームを含む東京駅丸の内駅舎の全景
行幸通りの中央から見た丸の内駅舎。左右がほぼ同じ形で構成されています。

次に試したいのが、南北のドームを見比べることです。

丸の内南口と丸の内北口、どちらのドームの下にも入ってみてください。見上げると、よく似た構成の空間が広がっていることが分かります。片方だけを見て帰るのはもったいない場所です。

東京駅丸の内北口または南口ドーム内部の装飾
ドーム内部の見上げ。南北のどちらもほぼ同じ構成でつくられています。

時間があれば、駅前広場を南から北へゆっくり歩いてみるのもおすすめです。中央を通り過ぎた瞬間に、風景が鏡のように反転する感覚を味わえます。

まとめ

最後に整理します。

  • 東京駅が左右対称なのは、中央に軸を持つ当時の公共建築の構成にもとづくため
  • 設計は辰野金吾と葛西萬司
  • 創建当時は南口が乗車口、北口が降車口として使い分けられていた
  • 両端のドームが、長大な建物の輪郭を締めくくっている
  • 2012年の復原により、創建時の対称的な姿が戻った

整った見た目の裏側には、当時の使われ方が隠れています。

第7話では「東京駅は戦争で焼けたって本当?」を紹介します。

参考資料

  • JR東日本「東京駅丸の内駅舎」
  • 東京ステーションギャラリー
  • 文化庁 国指定文化財等データベース/文化遺産オンライン
  • 鉄道博物館
  • 国立国会図書館デジタルコレクション/ジャパンサーチ

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