東京駅ドーム天井の干支と装飾を見上げてみよう
TOKYO STATION HISTORY WALK
知ると歩きたくなる東京駅|見どころ・歴史シリーズ
東京駅ドーム天井の干支と装飾を見上げてみよう
天井にいる干支は、実は十二支のうち8つだけです。
東京駅丸の内北口・南口のドーム天井には、干支のレリーフがあります。ただし、十二支が全部そろっているわけではありません。天井にいるのは8支だけで、子・卯・午・酉の4支は東京駅にはいません。
では、残りの4支はなぜ省かれたのでしょうか。天井を見上げると、干支だけでなく、翼幅約2.1メートルの鷲、兜、鳳凰、剣などのレリーフも見つかります。この記事では、東京駅ドームの干支と装飾の見方、そして武雄温泉楼門につながる興味深い謎を紹介します。
この記事で分かること
- ドーム天井の干支は十二支のうち8つだけで、子・卯・午・酉はいないこと
- 残り4支と佐賀・武雄温泉楼門との興味深いつながり
- 干支以外の鷲・兜・鳳凰・剣の装飾と、2012年の復原・南ドームに残る創建時部材
丸の内北口・南口で天井を見上げてみよう
東京駅丸の内駅舎の南北両端には、丸の内北口ドームと丸の内南口ドームがあります。外観で見える大きなドーム屋根の下に、改札外のコンコースから見上げられる八角形の内部空間が広がっています。乗車券や入場券がなくても見学できます。
ドーム内部は八角形を基調とした空間です。まず八角形の天井全体を眺め、角にある鷲を探してみてください。次に、その周囲に配置された花飾り、干支、兜、鳳凰、剣へと視点を移していくと、装飾の位置関係をつかみやすくなります。
天井にいるのは十二支のうち8つ
ドーム天井の8カ所のコーナーには、十二支のうち8つの干支が、それぞれの方位に対応する形で配置されています。
- 北東:丑・寅
- 南東:辰・巳
- 南西:未・申
- 北西:戌・亥
真北の子、真東の卯、真南の午、真西の酉は、東京駅のドームには配置されていません。
現地で探す場合は、まず一周ぐるりと見渡して8つのレリーフの位置を確認し、真上だけでなく斜め上にも視線を向けてみてください。高い位置にあるため肉眼では細部まで見えにくいことも多く、スマートフォンのズーム機能があると干支の姿を確認しやすくなります。撮影の際は、通路の中央で長時間立ち止まらないよう注意してください。
残り4つは武雄温泉楼門にある?|少しマニアックな話
東京駅のドームにいない子・卯・午・酉の4支については、興味深い話があります。東京駅の設計者である辰野金吾が手がけた建物のひとつに、佐賀県武雄市の武雄温泉楼門(1915年完成)があります。この楼門の改修工事の際、天井の板に子・卯・午・酉の4支が彫られていることが確認されました。
東京駅の8支と武雄温泉楼門の4支を合わせると、ちょうど十二支がそろいます。ただし、辰野金吾が両建築に意図的に十二支を分けたことを示す明確な設計資料は、現時点では確認されていません。設計者の遊び心だったのか、偶然の一致なのかは分かっておらず、辰野建築をめぐる興味深い謎として紹介されています。
ドーム全体の見学ルートについては、丸の内ドームを1時間で見て回る方法もあわせてご覧ください。
干支だけではない|鷲、兜、鳳凰、剣の装飾
ドーム天井を見上げるときは、干支だけを探して終わらないことをおすすめします。八角形の各コーナー上部には、左を向いた8羽の鷲が配置されています。両翼を広げた大きさは約2.1メートル。地上から見ると小さく感じますが、実際には人の身長を超えるほどの大きな彫刻です。
鷲のほかにも、兜型、鳳凰型、剣型、花飾りのレリーフが配置されています。干支だけに目を向けると見落としやすい部分ですが、装飾を順番に探すと、ドーム全体が細かなレリーフで構成されていることが分かります。
現在の天井は2012年に復原された
創建時の南北ドームには、豪華な内部装飾が施されていました。しかし1945年5月25日の空襲による火災で、屋根とともに天井装飾の多くが失われています。1947年の戦後復旧では、創建時のような装飾豊かなドームは戻らず、簡素な形の屋根に置き換えられました(駅舎全体の戦災と復旧の経緯は、前回記事「東京駅丸の内駅舎の赤レンガと復原の歴史」で紹介しています)。
現在の天井装飾は、2007年から2012年にかけての保存・復原工事で、創建時の写真や残された部材などを手掛かりに、創建当時の意匠を目指して復原されたものです。干支の彫刻は、灰緑色の背景にガラス繊維強化石膏(GRG)で、鷲の像は繊維強化プラスチック(FRP)で再現されています。
南ドームには創建時のレリーフが残る
さらに南ドームには、創建時から残る本物の部材もあります。戦後に設けられた天井の裏から、表面の多くが焼け落ちた創建時のレリーフが見つかり、そのうち保存可能だった石膏パーツが補強され、南ドームのアーチ部分に再び取り付けられました。周囲より黒く見える部分が、創建時の部材です。
北口と南口のドームは、基本的なレリーフ構成が共通しています。片方だけでも主要な装飾は確認できますが、南ドームでは、この創建時の石膏パーツが再利用された黒いレリーフもあわせて探してみてください。
現地ではこの順番で見てみよう
- 空間全体を見る:まずはドームの中央付近に立ち、八角形の空間全体を見渡してみましょう。
- 鷲を探す:八角形の角の上部にある、翼幅約2.1メートルの鷲のレリーフを見つけます。
- 8つの干支を一周して探す:鷲の周囲を一周見渡し、丑・寅・辰・巳・未・申・戌・亥のレリーフを探してみてください。
- 兜・鳳凰・剣などの装飾を見る:干支の周囲にある兜型、鳳凰型、剣型などのレリーフにも目を向けます。南ドームでは、周囲より黒く見える創建時の部材も探してみましょう。
- 外観とのつながりを確認する:ドームの外に出て、駅舎外観の屋根の形と、内部で見た天井の位置関係を確認してみましょう。
- 場所
- 東京駅丸の内北口・丸の内南口
- 改札
- 改札外(乗車券・入場券不要)
- 所要時間の目安
- 片方だけなら5〜10分、両方見るなら15〜20分
- 料金
- 無料
- おすすめの人
- 東京駅の歴史や建築に興味がある人、短時間観光、写真撮影
- 撮影時
- 通路中央に長時間立ち止まらない
- 混雑時
- 人の流れを妨げない位置から見学する
- ズーム撮影
- 上部の細部確認に便利です
まとめ
東京駅丸の内駅舎のドーム天井には、8つの干支のほか、翼幅約2.1メートルの鷲や兜、鳳凰、剣といった装飾があります。現在の姿は、戦災で失われた後、古い資料や残っていた部材をもとに2012年に復原されたものです。東京駅で少し時間があれば、丸の内北口または南口で天井を見上げてみてください。次回は、原敬・濱口雄幸ゆかりの東京駅の歴史の舞台を歩きます。
駅舎の外観もあわせて見て回りたい方は丸の内駅舎全体を見て回るコースを、見学の後に少し休みたい方は見学後に座って休める場所をご覧ください。
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