東京駅丸の内駅舎の赤レンガと復原の歴史
TOKYO STATION HISTORY WALK
知ると歩きたくなる東京駅|見どころ・歴史シリーズ
東京駅丸の内駅舎の赤レンガと復原の歴史
知ってから見上げると、駅舎の見え方が少し変わってきます。
東京駅で少し時間が余ったら、丸の内側に出てみてください。赤レンガの壁と左右のドームを持つ大きな駅舎が現れます。この駅舎、実は目に見えている赤レンガのすべてが1914年の開業当時のものというわけではありません。
この記事では、東京駅丸の内駅舎がどのように造られ、戦争で何を失い、どのように今の姿へ戻されたのかを紹介します。知ってから見上げると、駅舎の見え方が少し変わってくるはずです。
この記事で分かること
- 丸の内駅舎が「中央停車場」として1914年に生まれた背景
- 1945年の空襲で3階とドームを失い、戦後復旧のまま長く使われた経緯
- 2012年の復原で、保存された部分と新しく復原された部分の違い
東京駅丸の内駅舎は「中央停車場」として生まれた
東京駅は1908年(明治41年)に着工し、1914年(大正3年)12月20日に開業しました。皇居から東へ一直線に延びる行幸通りの正面という位置に建てられており、単なる駅舎ではなく、首都東京の顔となる「中央停車場」として計画された建物です。
設計を担当したのは建築家の辰野金吾で、実際の設計図は辰野葛西事務所によってまとめられました。赤レンガに白い石材を帯状に組み合わせ、古典的な構成に自由な装飾を加えた外観は「辰野式フリー・クラシック」と呼ばれる作風の代表例です。駅舎は中央棟から南北へ長い翼部を延ばし、その両端近くに大きなドームを配した構成で、南北の折れ曲がりを含めた延長は約335メートルに及びます。
1945年の空襲で失われた3階とドーム
1923年(大正12年)の関東大震災では、駅舎に大きな被害はありませんでした。しかし1945年(昭和20年)5月25日、戦争末期の空襲による火災で、屋根や天井が大きく損壊します。
戦後、駅としての機能を早く回復させるため、3階部分を撤去して2階建てとする復旧工事が行われ、1947年(昭和22年)3月に完了しました。南北のドームも、創建時のような丸みを帯びた形ではなく、簡素な形の屋根に置き換えられています。この戦後復旧後の姿は2012年の完成まで60年以上続いたため、2階建て時代の東京駅を記憶している人も少なくありません。
保存された2階以下、復原された3階
丸の内駅舎は、鉄道建築として重要な文化財であるとして2003年(平成15年)5月30日に国の重要文化財に指定されました(正式名称は「東京駅丸ノ内本屋」。ここでの「本屋」は駅の主要な建物を指す鉄道・建築上の呼び方です)。保存・復原に向けた検討が進むなかでの指定を経て、2007年(平成19年)に工事が始まり、2012年(平成24年)10月に完成しています。
ここで、記事の核となる話をひとつ。現在見えている赤レンガは、すべてが1914年当時のものではありません。2階以下では、建物の構造を支える「構造レンガ」と、外観を整える「化粧レンガ」など、創建時の材料が保存されました。一方、戦災で失われて長らく無かった3階部分は、躯体を鉄筋コンクリートで新しく造り、その表面に創建時の色や質感に近づけた化粧レンガを貼ることで復原されています。つまり、一続きの赤レンガに見えても、2階以下と3階では建物のつくりが異なるのです。
覆輪目地(ふくりんめじ) レンガとレンガの間には、目地の中央が細く盛り上がった「覆輪目地」という仕上げが使われています。手間のかかる仕上げ方で、保存部分では既存の目地がそのまま活かされ、復原部分でも創建時に近い見え方になるよう仕上げられました。近くで見ないと分かりにくい部分ですが、東京駅好きにはぜひ注目してほしいディテールです。
駅舎の見どころをもう少しじっくり見て回りたい方は、丸の内駅舎を1時間で巡るコースもあわせてご覧ください。
外観の復原だけではない|駅舎の下に免震装置
保存・復原工事は、外観を昔の姿に戻しただけの工事ではありません。地下には新しい躯体を構築し、既存の駅舎の下に免震装置を組み込みました。この免震化によって、重要文化財である歴史的建築物を保存しながら、現在も多くの人が利用する現役の駅として使い続けられるようになっています。
現地ではここを見てみよう
- 丸の内駅前広場から、中央棟・南北の翼部・ドームまで含めた駅舎全体を眺めてみる
- 近づいて、レンガの間にある覆輪目地の仕上げを探してみる(肉眼ではっきり分かるとは限りませんが、注目してみる価値があります)
- 赤レンガと白い石材・窓枠が組み合わさった、辰野式フリー・クラシックらしい外観を見る
- 南北のドームだけでなく、行幸通り正面にあたる中央部にも目を向けてみる
- 時間があれば、丸の内北口または南口のドーム内部も見上げてみる。装飾の詳しい見方は丸の内ドームの見どころで紹介しています(次回の記事でも詳しく取り上げます)
駅舎を見た後、時間に余裕があれば行幸通りを歩いて皇居方面まで足を延ばすのもおすすめです。詳しくは行幸通りの歩き方をご覧ください。
- 場所
- 東京駅丸の内側
- 改札内外
- 基本的に改札外から見学可能
- 所要時間
- 外観だけなら約5分〜10分
- 雨天時
- 屋外部分があるため天候に注意
- 混雑時
- 通行や撮影の妨げにならないよう注意
まとめ
現在の東京駅丸の内駅舎は、単に昔の姿を再現しただけの建物ではありません。創建時から残る材料、戦後復旧のまま60年以上使われ続けた歴史、2012年に復原された3階部分、そして現代の免震技術。いくつもの時代が重なり合って、今の姿ができています。次回は、ドーム内部の天井装飾や干支のレリーフを紹介します。
見学の後に少し休みたい方は、東京駅で座って休める場所もあわせてご確認ください。
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